こういった化粧道具に繊細なほどこしがあるというのは、とてもレトロ。鳥が花と葉がついた枝に戯れる様子なのか、口紅の蓋の横についた真鍮の楕円の中に模様が彫られている。蓋を外すと、あらびっくり、楕円の部分がパカッと開いて、裏側が鏡になっている。気が利いているではないか。おしゃれをしたウェーブヘアの女性が、さっと化粧直しをする姿が目に浮かぶ。これも、もちろん義母の持ち物だった。

口紅の底に、「パトリス(Patrys)」と書いてある。メーカー名ではないかと調べると、すでに存在しない会社らしい。あるのは、ヴィンテージ品のネット販売で、1950年代から60年代の化粧品雑貨として、パトリス名の口紅やパウダーケースがいくつか出品されていた。
薄いオレンジ系ベージュという控え目な色合いから、義母の口紅は60年代中頃のものと思われる。口紅の色にも流行りや傾向があり、50年代は赤系のはっきりした色。60年代後半にかけては、ヒッピーファッションの影響もあって、化粧もナチュラル。自然なベージュ系色が市場に多くみられた。
パール入りの口紅がやたら流行った時期もあったっけ。ピンクパールとか、私も持っていた記憶がある。あれは70年代だったか、80年代だったか。
