フランスの磁器生産といえば、真っ先に名前があがるリモージュ焼き。リモージュ(Limoges)は、フランス中央やや南あたりに位置するオート・ヴィエンヌ(Haute-Vienne)県にある町だ。リモージュ近辺には、磁器製造に欠かせない白粘土、カオリンが産出されることで、1765年〜70年にかけて、磁器産業がはじまった。
リモージュ焼きは、金色をふんだんに使った華やかなイメージがある。典型的な柄のひとつ「王朝柄」には、17世紀から18世紀に全盛期だったブルボン王朝時代の貴族たちが登場する。ほとんどカップルで描かれていて、なんだか男性が女性を口説いているようにも、ふたりでイチャついているようにも見える。「こんな柄のカップでコーヒを飲みたくないなぁ」と、よこしまな私はつぶやく。
小学生の頃、「悲しみの王妃」という絵本を読んだ。オーストリアのお姫さまで、15歳くらいの時にフランス国王ルイ15世に嫁いだマリー=アントワネットの話である。贅沢三昧をつくして、1789年のフランス革命後に処刑されてしまうのだが、絵本の中で美しく着飾り宮廷を飛び歩いていた可愛らしい彼女が、37歳という若さでギロチンにかけられてしまうことに、ひどく同情したことをいまだに覚えている。ついでに書くと、フランス人は、マリー=アントワネットに絶対同情などしない。

カップの底に、「B&Co(上つきoに下線)| LIMOGES | FRANCE」と緑色の印があった。調べると、ベルナルド(Bernardaud)という磁器製造業が1900年〜27年にかけて使っていた印らしい。
ちなみに、この王朝柄カップ、どこを探してもソーサーが1枚も見当たらなかった。
