日本人がコーヒーの味にこだわりを持ちはじめたのは、1970年代。「美味しいコーヒー」に目覚め、本場のコーヒーが味わえる喫茶店が増えたり、専門店でコーヒー豆が買えたりした。
その頃、アルバイト先の女性オーナーがドリップ式のコーヒーを淹れながら、カリタ式とメリタ式の違いについてうんちくを語ってくれた。ふんふんと聞いたものの、あまり興味がなかった。だって、ウチでは家族みんな、粉末のネスカフェにクリープを入れて飲んでいたから。

メリタの陶器で出来たコーヒーポットとドリッパーは、屋根裏に置かれた食器棚に入っていた。「Melitta」という文字を見て、はるか昔の女性オーナーの顔が浮かび、メリタについてちょっと調べてみた。メリタは、1908年に創業したドイツの企業で、コーヒーを淹れるペーパードリップシステムを発明。ドリッパーの形状は試行錯誤が繰り返され、底の穴が4つになったり3つになったりしたが、1963年以降は1つ穴に定着した。ちなみにカリタは3つ穴らしい。
このドリッパーは3つ穴なので、1963年より前に製造されたということになる。
毎朝のコーヒーは、ドリップ式のコーヒーメーカーで淹れるが、ミントカラーのメリタセットも時々使う。「Melitta 102」のペーパーフィルターを敷き、コーヒー豆の挽き立てを入れたら、長い歴史に敬意を表して、お湯をうやうやしく注ぐ。
