夫の祖父は、木工職人だった。第二次世界大戦中は、ブルターニュ地方にあった軍港で潜水艦などの内装を担当していたらしい。戦争が終わった後、自宅の車庫を仕事場にして、定年まで家具の注文を受けたり、修理などを行った。一方で、家族のために生活品もいろいろと作ってくれた、と義母が言っていた。
そんなことで、この家にもお祖父さんが作った木製品がいくつかある。引くタイプの蓋がついた、長さがまちまちの用具箱もそう。どれも義母が愛用していたものだ。一番長いのには編み棒が、次の長さには編み物関連の小道具が、短いのにはボールペンなどの文房具が入っていた。

一番短い箱は、長さが25センチ弱。真ん中に仕切りが入っていて使い勝手がいい。私は、自分の部屋の机の上に置くことを決め、ちょこっと縫い物をする時に必要な道具を入れている。時折、引き戸のような蓋を開けたり閉めてみたり…、遠い昔にお祖父さんが娘のために作った木の箱は、とても触り心地がいい。
お祖父さんは、1970年代半ばに亡くなってしまい、私は面識がない。でも、木工職人なんて、とても素敵な仕事に思える。木材を切ったり、削ったり、作りたい家具や雑貨が出来てしまうんだから。そう考えると、夫がお祖父さんの素質をさっぱり受け継がなかったのは、ちょっと残念。
