幼児用の皿に穴が…何故?

食器・キッチン品

夫が幼児時代に使っていた皿。なお、彼自身は全く覚えていないとのこと。義母がまだ元気だった頃、この家の食器棚を一緒に片付けたことがある。その時に見つけた皿で、縁の部分に穴がある。不思議に思い、義母に聞いた。「これね、熱いお湯を中に入れて、幼児食が冷めないようにするの。小さい子は食事に時間がかかるから」。彼女は、昔を思い出したのか嬉しそうに教えてくれた。

な〜るほど。今だったら、電子レンジに入れて温めなおしたりするんだろうか。でも、それだと熱くなりすぎたり、栄養がなくなったりしそう。お湯を中に入れた皿に盛られた食事だったら、ほどよい温かさが持続する。

皿の裏にある刻印を見ると、ヴィェルゾン(Vierzon)で製造された磁器とある。ヴィェルゾンはフランスの真ん中あたりにあるシェール(Cher)県の町で、城があり中世の街並みが残るところ。ここでは、18世紀から陶磁器産業がはじまった。この土地で産出される「カオリン」という白粘土で製造された、白くて硬い磁器が重宝され、19世紀には国内だけでなく、海外にも進出したという。

栄枯盛衰。20世紀に入ると、ヴィェルゾンの陶磁器産業は不振となり、所有者の交代や合併が繰り返される。1969年には、磁器の高級食器製造で有名なリモージュ(Limoges)焼きの製造ユニットに合併。1997年以降、ヴィェルゾンでは磁器の製造も絵つけも行われていない。

…という歴史が背景にある幼児用の皿。ヴィェルゾン近辺には、この土地で製造されていた磁器の博物館があるというので、今度行ってみたい。