雑草の向こう側に石造りの塀…。うらぶれて、崩れ落ちた家の一角に見えなくもない。これは、庭の井戸の周りにある長さ15メートルくらいの塀の一部だ。実は、最近業者に頼んで庭を少し整理してもらうまで、この塀の前には木が繁っていて、私はこの存在を知らなかった。いや、あまりにも「もちゃくちゃ」していて、近寄りもしなかったのだ。
「ここは何に使っていたの?」。夫に聞いてみると「大きな鳥籠だった」との回答。塀につづけて金網が丸く張られ(錆びた金網が写真に写っている)、天井はガラス張りだったらしい。どおりで、塀にあるいくつもの穴は鳥の寝床だったのだ。
「で、何の鳥がいたの?」「カナリア」「ふーん…」「でも、ある日ガラスが割れて、鳥は逃げちゃった」。
夫が3〜4歳くらいの時の話なので記憶が曖昧らしいが、なんか悲しい結末。
とはいえ、壁の穴に花の咲く植木を並べてもいい。地面には「すのこ」を敷いて、小さなテラスにするとよいかも。あら、とても魅力的な場所に思えてきた。
