ワタシはネコ。2017年の6月頃、庭の一角で生まれました。1ヵ月くらいすると、一緒にいた母ネコが「この家のキッチンの窓際に来るとご飯をもらえるよ」と教えてくれたわ。そうすると、中からおばあちゃんが顔を出して、食べ物をたっぷりのせた皿を外に置いてくれたの。家の中には入れてもらえなかったけど、食べ物と広い庭があれば十分。
ところが、私が3才くらいになった頃、おばあちゃんが「カイゴツキロウジンホーム」に引っ越ししちゃった。でも、息子夫婦が近所のネコ好きおじさんに頼んで、庭でご飯をもらえるようにしてくれた。それに、塀を乗り越えたお隣のおばさんはとても親切。ネコを3匹も飼っているけど、ワタシが遊びに行くと必ずご飯をくれたの。3匹のネコたちは気に入らなかったけどね。
事件が起きたのは、2024年夏。その頃になると、息子夫婦がこの家に長期で滞在するようになっていたわ。ご飯はキチンともらえたけど、ワタシは相変わらず外暮らしの自由ネコ。ある日、ワタシの右ほっぺがパンパンに腫れているのを息子が見つけたの。即、獣医へ。ほっぺに小さな穴が3つ空いていて、獣医によれば「ほかのネコとでも喧嘩して咬まれたのか、化膿している」との診断。そういえば、少し前にネズミと出会って「今日はご馳走だ!」と思ったのに、ひどく抵抗されたのを思い出したわ。
5日間入院して腫れはおさまったけど、どうも食欲が戻らないの。しばらくして、もう一度獣医へ。すると衝撃的な診断が。「かなり重症の腎不全で、貧血もひどい。このまま外で暮らすなら長くはないし、苦しんで死んでしまうより安楽死を勧めるよ」と冷たい獣医の言葉。ガーン!!!! ワタシは、息子夫婦と獣医の視線をひしひしと感じながら、診察台の上で小さくうずくまっていたわ…。
「このコを家で飼って看病することにする」。沈黙を破ったのは嫁。こういった決断は、グズグズする息子より嫁のほうが早いの、いつも。それから、獣医に長々と書いてもらった処方箋を持って3人で帰宅。ワタシは晴れて家ネコになりました!

あれから1年半。ワタシは家の中の居心地のよさにすっかり慣れちゃいました。朝と夜、毎日薬を呑まされるのはちょっぴりウザイけどね。嫁は恩人だし、言うことを聞かないと。それでも、庭に出してもらう時には、トカゲや小さな野ネズミを見つけると、やっぱり外ネコの血が騒いじゃう。嫁が悲鳴をあげないように、そっと隠れて味見をすることもあるんだ。内緒だよ。

