子ども時代、私は「ままごと」や人形の着せ替えで遊ぶというよりも、夕方暗くなるまで外で走り回っていた記憶がある。自宅は東京でも郊外のほうにあり、当時は近所に原っぱがいっぱいあった。
義母の持ち物を整理する中で、数多くの人形が出てきたことにはびっくりした。大小の物が約60体、いやもっとあったかもしれない。古い物から、まだ箱に入ったままの新品まで。古い人形には義母の手製と思われる衣服が着せられていた。
義母には大変申し訳ないが、一部を除いてほとんどの人形は慈善団体に持っていった。
写真の人形はセラミック製。昔からずっとこの家にあった物で、義母から「小さな頃から持っている」と聞いていた。義母の部屋の片隅に置かれていた人形。見つけた時は、埃だらけで来ていた水色のセーターには穴が開いていた。何故か不憫になり、スーパーで赤ちゃん用の白いブラウスを買ってあげた。
指の何本かは壊れていて、腕も足もぶらんぶらんしているが、石鹸水で拭いてあげたら、思いの外顔はきれいだった。