子どもの頃、お菓子を買うと箱の中に入っていたおまけ。四角いシートで、指で持って動かすと、印刷された画像が変化するやつ。ネットで調べたら「レンチキュラー印刷」というのだと知った。
これは、夫が小さな頃(1960年代中頃の話)に使っていたらしく、誇りをかぶった玩具箱の中で見つけた。プラスチック製のテレビで(レンチキュラーの玩具はたいていテレビ型)、太目と細目の鉛筆用に2つ穴の鉛筆削りがついている。黒ずんで汚れていたのをアルコールと綿棒できれいに拭いたら新品同様!
ちょっとキッチュで、なんとなく「中国製」の雰囲気が。いやいや、当時はフランスに中国製の雑貨などなかったはず。テレビの裏側をみると、「made in France, déposé」の文字が入っている。「déposé(デポゼ)」というのは、型もしくはデザインが登録されているという意味だ。中央には、ひし形と中に文字がうっすらと認められるのだが、摩耗していて読めなかった。そのあたりが丸くすべすべとしているので、子どもの夫が、いつもその部分を親指で握って鉛筆を削っていたのではないか。おそらく製造会社名もしくはブランド名が書かれていたのだと思う。
黒い猫の足が歩いているように動き、背後で鳥が頭を上下に振っている。猫を警戒しているのだろうか。